続き。
大学卒業後、平くんから東京で公演するから一緒にやろうとお誘いされました。
仕事あるし無理、と言ってお断りした所までが前回のお話。
平くんは、自分がこの人と音を出したい!と思う人に、片っ端から声をかけていたようです。
この頃はまだ、お酒を飲んでもちゃんと意味の分かる話が出来る人でした。
その情熱が伝わって、多くのメンバーが集まりました。
黒さんと充も、参加を決めました。
松上はまだ大学1年生で、平くんと共演した事もない童貞だったので、声がかかりませんでした。
多くの仲間たちが東京公演参加を表明していく一方で、俺はずっとお断りしてました。
いや会社員してたら東京で公演とか無理です。みたいな事を言っていたような気がします。
強引に時間作って和太鼓やりたい!舞台つくりたい!という欲求が、あまり無かったことの表れだったと思います。
そんなある日、東京公演の会議と夕食を兼ねた集まりに参加する事になりました。
俺にとって敬愛すべき、伝説のサークル創設メンバーである黒さんもそこにいました。
黒さんは俺に「東京公演に参加してほしい」とは一言も言いませんでした。
代わりに、みんなの前で「舞台演出を担当する人がいなくて困ってる」と言いました。
サークル時代、舞台演出は俺の担当だった事をふまえて、それを知ってるみんなの前で「舞台演出を担当する人がいなくて困ってる」と何度も言いました。
俺は聞き流していましたが、黒さんは「本当、このままじゃ困るよね」と繰り返し言いました。
その場はだんだん「中島が参加しないせいで東京公演がヤバい」みたいな雰囲気になりました(俺目線)。
俺は大学時代の友人たちから白眼視される事を恐れ、つい「参加する」と言ってしまいました。
けれど仕事してたのも事実なので、「演奏はしないけど、演出チームには加わる」という事で許してもらいました。
黒さんのやり方があまりにもいやらしかったので、
この人の事を必要以上に敬愛するのは、もうやめようと思いました。
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